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【前編】【35歳までに読んで欲しい】あなたの転職理由を決める10質問

今の職場は正解か?キャリアを評価する10の質問 キャリア

仕事・キャリアは自分の「アイデンティティ」を支える大切な部分です。

「アイデンティティ」という英語は、「同一性」と分かりにくく訳されることが多いですが、これは「自分は何者であるのか」ということです。つまり、「仕事やキャリアは自分が何者であるかを決める人生でとても重要な要素」になります。あなたが他人を仕事や会社で評価するように、あなたも他人から仕事や会社で評価されています。

誰でも20代から30代にかけて、現在の自分の仕事や職場に何らかの不安や不満を感じている人が多い。「仕事やキャリア=自分の評価・価値」ですから、不安や不満を感じるのは当然のこと。ただ、どうしたら良いのか分からず、毎日悶々としている人が多いのことも事実。この記事によって、皆さんの「仕事、職場、キャリアに対する不安や不満」を解決できれば幸いです。

この記事を書いている私のキャリアの概要です。

    1. 理系で大学、大学院卒
    2. 米国NY州大手IT企業のSE
    3. 同社のITコンサルタント
    4. 米国ボストンにある大手戦略ファームの経営コンサルタント
    5. 日系大手コンサルティング会社役員
    6. 独立起業(起業当時は上記会社役員と兼業)

現在、定年の年齢を迎える前に、私の会社は優秀な社員たちに任せ、私は海外を回りながら株主兼非常勤取締の立場でリモートで会社の運営に関わっています。

 

本記事の内容

 

 

今の仕事・職場を転職すべき10の質問

前書き(記事を書くにあたって)

この記事では「キャリア」という「あなたの価値」を決めるとても重要なテーマについて書きたいと思います。長くなりますので、【前編】【中編】【後編】の3部編成になります。皆さんが書店で買うキャリア本よりも、さらに本音で踏み込んだ内容になっています。勿論、全て無料です。長くなりますが、一緒にキャリアについて考えて行きましょう。

この記事の内容は、全て私の実際のキャリアの成功や失敗、私の知人の実際のキャリアの成功や失敗の経験を元に書かれています。「あの成功があったから今がある」「あの失敗がなかったら良かったのに」という例を元に、皆さんが将来について考え易いように、多くの人がキャリアで抱える問題を10の質問(=10の理由)にまとめました。

私にとって、「キャリアは自分のアイデンティティを支える大きな部分」です。また、「採用者側の立場で多くの転職希望者たち」と会ってきました。人生の大切な時間を割いてこのページを読んでくださっている皆さんにとって、この記事がご自身の強力なアイデンティティを構築するキッカケになって貰えれば幸いです。

 

10の質問で分かる! 今の仕事・職場があなたにとって正しい場所かを考えます。

まずは、表題の「10の質問」です。

  1. 会社の課長、部長があなたのキャリア人生の終着点です。それで満足できるか?
  2. あなたの会社の外の友だちを妬んだり羨むことが多いか?
  3. 今日の仕事の延長線上は、会社全体を理解できるスキルが身に付く仕事か?
  4. レッドオーシャンで勝つチャンレンジを会社でさせてもらえているか?
  5. あなたの会社は、給与や処遇の渡し方であなたをダマしてないか?
  6. あなたの会社は10年前と業務が大きく変わっているか
  7. あなたの会社の10年分のアニューアルレポートを読んで不安を感じるか
  8. 現在全く流行りではないありきたりの仕事をさせられていないか?
  9. あなたの会社の同僚は他社と比べて優秀か
  10. あなたの本音では成りたい自分の姿があるんじゃないか?(人は人、自分は自分。私の人生で最も大切な言葉です。)

 

10の質問ですが、多くの転職成功者がこれらの質問の答えを理由に転職を決断・成功さています。つまり、

「転職理由を決める10の質問」=「成功する転職を決断する10の理由」

と考えて読み進んで頂ければと思います。

この【前編】では、この10の転職理由の1〜5について解説します。

【前編】10の転職理由の1〜5について解説
【中編】10の転職理由の6〜10について解説
【後編】全体の総括と取るべきキャリア戦略(予定)

の順で話を進めたいと思います。

では、早速、【前編】を始めましょう。

 

 

あなたが転職を決断すべき10の理由 解説編【前編】(理由1〜5)

 

(理由1)会社の課長、部長があなたのキャリア人生の終着点です。それで満足できるか?

小山の大将の上司

大企業に入社して役員になれる人は1,000人に1人、確率で言うと0.1%です。大きな親会社の資本が入っている子会社、同族経営の会社などでは、もっと確率は下がるでしょう。つまり、「あなたは会社で役員にはなれない」と多くの場合断言できます。

会社には次の3つのタイプのキャリアパスがあります。

  • 役員になれる人
  • 中間管理職になれる人
  • 平社員で終わる人

会社の規模にもよりますが、課長は10〜20人くらいの社員をまとめているケースが多いでしょうか。つまり、課長になれる可能性は10〜20%程度。会社によって課長クラスの人を部長と肩書だけ与えて社員や顧客の目くらましをしている会社がありますが、通常、部長クラスになると100人程度以上の社員のバジェットを抱えているケースが多いかと思います。つまり、部長になれる可能性は1%程度

「類は友を呼ぶ」と言いますが、残念ながらあなたはあなたが働いている会社に似つかわしくないほどの飛び抜けた優秀な人材ではありません。周りの同僚や先輩たちを似たようなレベルでの競争になるでしょう。

同じ環境で似た能力の人材同士が競争をし、部長になれるのは1%程度、課長になれるのは10〜20%程度。

そう考えると、あなたが今の会社にい続ける限り、あなたのキャリアで到達できる最高地点は、課長クラスが現実的。ちょっと頑張って運も助けて部長。そう考えるのが現実的でしょう。

このあと20年、30年間、20歳〜50歳までの一生で一番元気で楽しい大切な時間を朝から晩まで会社に捧げ、その先に待っている最高の姿があなたの目の前にいる上司の課長、良くて部長。(平社員で終わる可能性が90%であることも忘れては行けません。)

それで満足でしょうか?その答えを出すヒントは、他業種も含めて広く他社と比較すべきです。何故なら、日常の仕事に追われどうしても近視眼的になり、客観的にみたら大したことない社内のことが凄いものと思い込んでしまうことがあります。

  • 自分の課長や部長の給与は他社の課長や部長と比べてどの程度でしょうか?
  • 自分の課長や部長の生活は他社の課長や部長と幸せそうな人生を送っているか?

私は大学院を修了後、人生で最初に務めた会社は、170カ国以上に支社があり全世界で40万人の社員を抱えるアメリカの超大手IT企業でSEとして働いており、社内では良い評価を得ていました。が、自分の将来のキャリアについて考え始めた時、自分の課長や部長が目標ではだいぶ満足できないと思いました。それが、次の会社に転職を考えるキッカケになりました。

あたなが転職先を考える時、その会社の平社員の仕事内容や意見だけでなく、部長や課長がどのような待遇を受け取っているかをしっかり確認しましょう。それが転職成功のための重要なチェックポイントです。

 

(理由2)あなたの会社の外の友だちを妬んだり羨むことが多いか?

圧倒的についてしまった友だちとの差

学生時代は同じクラスや同じサークルで一緒に遊んでいた友だちも、就職とともに別々の人生を歩み始めます。行きたい会社に就職できた人もいれば、意中の会社に就職できなかった人もいるでしょう。

ただ、学生が考える人気の就職先。そんなものは正しい就職先選びにとってほぼ無意味です。何故か?当たり前ですよ。仕事をしたことがない学生が選ぶ業種や会社は単なるイメージ人気ランキングに他ありません。実際、入社してから「イメージと違った」と思う人も少なくないでしょう。まあ、理想の職業なんてなかなかないですから、それくらいなら我慢して下さい。

怖いのは、3年くらい働いた後です。多少のキャリアを積み、会社についても学生視点ではなく社会人視点で見え始め、ビジネスマン・ビジネスウーマンとして脂が乗ってきた頃。

この頃、ふと、学生時代の友だちを客観的に見てみましょう。あなたが友だちと同等であることはほぼ有りえません。社会人になって3年も立つと、必ず差が生じています。違う畑で違う人生を歩んでいるのですから当然です。

「年収はいくら?」という質問をよく聞かれます。年収は、ビジネスマンの実力や社会的地位を評価する一つの指標です。

勿論、年収が全てとは限らないのは確かです。例えば、物凄い危険な仕事や、人が寄り付かないようなブラックな環境の企業などには、妙に年収が高い会社があります。ただ、そういう極端な例を出し始めるとキリがないどころか、年収が低いことの言い訳になりかねません。

この記事では、「キャリア」を考えるために「年収は、ビジネスマンの実力や社会的地位を評価する一つの指標」という厳しい現実にも目を向けてみましょう。

国税庁の平成30年「民間給与実態統計調査」によると、平成30年の男女別の年収分布は以下の通りとなります。

平成30年男女別年収分布

年収別の割合を上位、下位という視点で簡単になとめると下記の通りになります。

  • 年収800万円未満:全体の下位91.2%(91.2%)
  • 年収800〜1,000万円:全体の下位95.0%(4.7%)
  • 年収1,000〜1,500万円:全体の上位5.0%(3.6%)
  • 年収15,00万以上:全体の上位1.4%(1.4%)

「年収1,000万円以上は上位5%」という言い方はよく聞かれますよね。年収1,000万円とう言うのは、多くのサラリーマンが目指す年収の目標ではないでしょうか。

年収1,000万円超は、全体のたった5.0%。

これだけ聞くと物凄く狭き門のように感じますが、ただ、人によっては「周りの人の殆どが年収1,000万円超」といういう人もいます。

どういうことか?答えは簡単です。

つまり、普通にしっかり仕事をしていれば、35〜40歳で年収が1,000万円を超えるという会社はいくらでもあります。その会社の社員にとっては、「会社の同僚はみんな年収1,000万超え」なんですね。

つまり、「年収1,000万円を超えられるかどうかは、あなたが無能とか優秀とかではなく、あなたが属している会社による」ということになります。実際、厚遇な大企業に勤めている全くの無能な社員をよく見かけますよね。

ここで考えなければいけないのは、「俺は薄給だけど優秀、高給だけの無能なあいつらより、俺の方が優れているんだ」とは絶対に思わないことです。それは薄給であることの負け惜しみです。「高給でかつ優秀」これを目指すことは悪いことではありません。また、傾向としては、年収が高い会社に優秀な人材が集まっていることも否定できない事実です。

まとめると、

  • 高給を手にできる優秀な人材になる
  • 厚遇な業界・会社で働く

 

 

(理由3)今日の仕事の延長線上は、会社全体を理解できるスキルが身に付く仕事か?

会社には3つのタイプのキャリアパスがあると上で述べましたが、これは要は会社での役割という意味でのポジションのことです。下記のように言い直します。

会社に存在する3種類のポジション(役割)

  • 社長を始めとする取締役/役員(会社経営)
  • 部長、課長などの中間管理職(現場の管理者)
  • 平社員(現場の作業者)

また、これとは別に、業務の観点で見た社内の職務がという別軸があり、職務はよく「ファンクション」などと呼ばれますね。例をあげます。

会社に存在するファンクションの例(職務)

  • 経営企画部門
  • マーケティング部門
  • 研究開発部門
  • 製造部門
  • 営業部門
  • 調達部門
  • システム管理部門
  • 財務部門
  • 経理部門
  • 総務部門
  • 人事部門 など

他にもあるかもしれません。見落としがあったらごめんなさい。ただ、会社のファンクションがどういうものか、この例でおわかり頂けたかと思います。多くの会社員は、前記したどこかのファンクションに属しているのではないでしょうか?

私のかつてのキャリアである「経営コンサルティング会社のコンサルタント」はというと、、、この例ではちょっとピッタリに当てはまりませんが、顧客企業にコンサルティングの提案をする時は「営業部門」で、実際にコンサルティングの資料を作成して納品する時は「製造部門(?)」で、2つのファンクションを担っているような感じしょうかね。

会社のポジションとファンクションについて絵を書いてみました。

会社のポジションとファンクション

1つのファンクション(例えば営業部門)の中に執行役員以下平社員までのピラミッドが存在し、それのピラミッドは殆ど全てのファンクションで同様の構造で存在します。

あなたは、この中でどこに当てはまるでしょうか?

答えはそれぞれですが、このプログを見てくださっている方の多くは、どこか1つか2つに当てはまるのではないでしょうか?これをマトリクスにしてみました。

例えば、私がかつて経営コンサルティング会社でマネージャーをやっていた時を例にすると、役職は「課長」くらいでしょうか。ファンクションとしては、前述のように「営業」「製造(納品資料の作成)」の2つですので、マトリクス上では下記のように◎をつけられるかと思います。

会社役職と職務のマトリクス

ここで感の良い方はお気づきでしょうが、このマトリクスの中で、一つだけ他と全く毛色の違う人たちがいます。色を変えてありますので分かりやすいですよね。そう、会社全体の経営を担う取締役等の経営陣です。◎を書くと下記のようになりますね。

取締役の役職とファンクション

さて、ここからこの章の本題です。

もしあなたがたった今担当している1つのファンクションの中だけで高い評価を得ても、◎が1つか2つ上に移動するだけ。あなたが取締役になれる可能性はとても低いと断言しましょう。下記の絵のように、「営業」の中だけで評価されても、執行役員になれる淡い夢を見ながら、良くて営業部長を目指すのが関の山です。

ファンクション内のみでの昇進

では、どうしたらいいか?答えを言いましょう。

少しずつでもよいので、全てのファンクションにズカズカと首を突っ込んでいき、全体を理解しましょう。それができれば、もしかしたら部長、あわよくば執行役員にもなれるスキルが身に付くかもしれません。

複数のファンクションのスキルを得る

今、あなたは、自分の目の前にある仕事で手一杯かもしれません。または、その業務で高い評価を得て満足しているかもしれません。そして、他の部門のことなど殆ど興味が無いかも知れません。

例えば、私がコンサルタントだったときは、顧客企業の多くの部門と横断的に話をして課題の特定や解決策の策定しなければいけませんでした、業務担当者たちからは「自分とは関係ない」という露骨に嫌な顔をされたことは何度もあります。会社の経営が自分と関係ないのでしょうか?

また、SEやITコンサルタントをやっていた時に、例えば「営業部門の新システム」を作り変える時、IT部門のお客様を介して営業部門の担当者の方とお話をしなければなりませんでしたが、「IT?俺は営業、忙しいんだよ」とやはり煙たがられたことは何度もあります。会社が生き残るために新しいビジネスモデルやコスト削減のために新システムを導入するのは当たり前です。営業担当者は関係ないのでしょうか?

もしあなたが「取締役」もしくは「役員」という「会社の経営者層」になりたいのであれば、下記の全てを理解していなければ、会社の舵取りなどできるはずもありません。

  • 経営企画部門
  • マーケティング部門
  • 研究開発部門
  • 製造部門
  • 営業部門
  • 調達部門
  • システム管理部門
  • 財務部門
  • 経理部門
  • 総務部門
  • 人事部門 など

もしあなたが「システム管理部門」だとしても、会社の経営について知る努力をしましょう。実際に経営に関わることが出来なくても、財務諸表やアニューアルレポートなどを見れば、会社の財務的な現状や方向性を理解することはできます。

もしあなたが「研究開発部門」だとしても、経理の知識も必要です。さもなければ、課長や部長は務まりません。開発費も社員の人件費も財務諸表上のコストで管理されて、それは会社全体の利益に反映されます。

もしあなたが「花の営業部門」だとしても、ITについて理解を深めて下さい。今どき、ITが関わらないビジネスモデルなどありません。

 

この章はとても重要な内容なのでだいぶ長くなってしまいました。最後に、私がかつて経験した例をお話しますね。

 

私がSEから職務変更をしてITコンサルタントをしていた頃の話です。
私は本社勤務でお客様からも社内の上司からも高い評価を得て、ビジネスマンとして順調にキャリアパスを駆け上っていると思い込んでいました。そんなある日、部長に呼ばれ、「地方支社から本社に移籍になり、この部に転部してくる先輩社員(私の2つ上)がいる。物凄く仕事ができるので負けないように」と忠告されました。当時の私は「本社勤務の俺が地方社員に負けるはずがない」と天狗にもなっていたところもあったと思います。しかし、その先輩に会って、自分が完敗していることを直ぐに思い知らされたのでした。

小さな地方支社にいた先輩は、新入社員の時から全てのファンクションを担当することを余儀なくされ、単なる優秀なコンサルタントではなく、既に会社の経営を理解した優秀な人材に成長していました。部長がわざわざ私を呼びつけて「負けるなよ」と発破をかけた理由が分かりました。「本社勤務」は役員になれて始めて価値があるものです。

もし今、あなたが単なる1担当部門のスキルしか身につかない仕事をしているなら、将来のキャリアにとっては黄色信号と言わざるをえません。情報システム部門でUNIXサーバーの管理だけをしてきた人に、会社の経営(運命)を任せるわけにはいきません。

将来、会社の経営陣になれかどうかは、あたなが会社全体を理解して会社を運営できる人材であるかどうかにかかっています。

あたなが転職先を考える時、会社の複数のファンクションについて経験できる会社かどうかが転職先を見極める重要なチェックポイントになります。例えば、小ビジネスだとしても新規ビジネスを立ち上げる仕事に関わると、嫌でも全てのファンクションに関わらざるをえず、自然と会社経営を理解した人材になっていきます。

 

(理由4)レッドオーシャンで勝つチャンレンジを会社でさせてもらえているか?

レッドオーシャンにチャレンジして成長を

INSEADの教授であるW・チャン・キム氏とレネ・モボルニュ氏の共著による「ブルー・オーシャン戦略」。大ベストセラーになった経営戦略論に関する著書です。経営コンサルタントだった私も発行当初に購入して読みました。

この著書での主張を簡単に説明すると、『血で血を洗う競争の激しい既存市場「レッド・オーシャン(赤い海)」から撤退し、競争のない理想的な未開拓市場「ブルー・オーシャン(青い海)」でビジネスを行うべき』ということになります。

企業が置かれているビジネス環境によってこの「ブルー・オーシャン戦略」を採用すべきかどうかは変わってきますが、健全な業界でしたら概ね激しい競争とスピードの速い変化の環境におかれているますので、新たな「ブルー・オーシャン領域」を探す作業はどうしても必要になります。

つまり、企業、特に資本力の強力な大企業は「ブルー・オーシャン戦略」は必ず検討すべき経営戦略になります。

一方、キャリアアップの観点から言うと、「ブルー・オーシャン」で戦うことは人材の成長にとって激しくマイナスに働きます

例を挙げて説明しましょう。

私が日系のコンサルティング会社で役員をやっていた時に、ある大手のコンサルティング会社から転職してきたマネージャークラスの人がいました。彼は、転職前に勤めていた大手コンサルティングが長年に渡って取引してきた既存顧客に対して、リピート案件を獲得してきたのが彼のキャリアでした。つまり、彼は波が穏やかな「ブルー・オーシャン」に浮かぶ大船の船上で自分の任されたタスクをこなしてきた人でした。新規案件の獲得が私の大きな役割だったため、ちょっと厳しい言い方ですが、この社員は全く戦力になりませんでした。

一方、オーナー社長がいるベンチャー系コンサルティング会社から転職してきた社員もいました。この社員は、実績の少ない小ぶりの新興企業にいたために、新規顧客獲得からプロジェクトの完了までのかなりの努力と経験を積んできていました。つまり、彼は荒れ狂う「レッド・オーシャン」の大波に漂う小舟の上を生きぬける能力を身に着けてきたわけです。

一般的な企業にとってもっと重要なことは、継続して利益を拡大していくことです。よって、企業にとって重要な人材とは、会社の利益拡大に貢献できる人になります。

一方、驚くことに、若手どころ中堅クラスの社員ですら、次のようなことを正しいと勘違いして、日々の仕事を行っている社員がいます。

  • 自分の上司に褒められることが全て(社内が世界の全て)
  • 同僚に対し非協力的(社内でちっぽけな評価を得たい)
  • 得た1つの仕事にしがみつき情報非公開(慣れた社内の楽な居場所を死守)
  • など

社内とは、あなたが毎日会社で見渡せる範囲の世界です。

そこで小さな評価を得るために、今の上司に気に入れてていれば良いのは若年層社員時代だけです。もしその上司との関係が崩れたらどうしますか?その上司が左遷や退社等で居なくなってしまったらどうしますか?また、信頼している上司も、何かトラブルがあれば保身のために簡単にあなたを切り捨てます。

また、会社で同僚が仕事で活躍をすることを妬んで、周りの社員に非協力的な社員がいますが、会社にとっては全く迷惑な存在です。全体のパフォーマンスを下げ、会社の利益にとっては確実にマイナスです。個人のフリーランスと違い、会社である強みは組織的に活動できること。様々なタイプの社員が力をあわせて会社の利益をお仕上げていくのです。そのためには、周りの人材の能力を引き出して、チームワークを作りだせる人材が必要になります。同僚に非協力的な人は、経営者層はもちろん中間管理職ですらなる資質のない人材です。

また、社内に「これについては、あの人しか分からないんだよねー」というタイプの人いませんでしょうか?会社にとってマイナスとは言いませんが、自分のキャリアにとっては最悪です。ビジネスの世界は常に物凄い速さで変化しています。もし、あなたがしがみついている業務がマーケットで価値がなくなったら、あたなの価値もなくなったという言うことです。

この章の最後に、私の実例をもう一つ。

コンサルティング会社のキャリア・パスは、会社によって多少の違いはありますが、概ね次のようになっています。

  1. アソシエイト(コンサルタント見習い)
  2. コンサルタント(実働コンサルタント)
  3. プロジェクト・リーダー(プロジェクトマネージャー)
  4. プリンシパル(複数プロジェクトの管理者)
  5. パートナー(経営者&案件獲得者)

1〜3のポジションの人は、主に現場で担当プロジェクトを成功裏に完了させるのが主な役割です。

4のポジションの人は、複数のプロジェクトを指導する立場にある一方、パートナーのアシスタント的立ち位置です。また、将来パートナーになるために自力で案件の獲得も要求されます。

5は会社の経営者ですが、普通の会社とちょっと違うのは、コンサルティング会社ではパートナーが案件の獲得の責任を負っています。別の言い方をすると、現場でどれだけ優秀なコンサルタントでも、案件を獲得できる営業力がなければ、パートナーにはなれません。

私は、ボストンにある大手経営コンサルティング会社にた時は、3のポジションでした。仕事は大変でしたが、現場のマネージャーという立場ではかなり良いアウトプットができていたと思います。

ある日、普段から個人的にお付き合いがあった中堅のヘッドハンティング・エージェントの社長から連絡がありました。話の内容は、「ある日系のコンサルティング会社が役員クラスの人材をさがしているけど興味ある?」とのこと。その会社の社長を面談を設けてもらい、転職することに。

私はそこで直ぐに壁にぶち当たりました。「営業が全く獲得できない」という壁に。

米国のコンサルティング会社にいる場合、そもそも世間で名の知れているような有名パートナーが用意してくれた案件をしっかりこなせば自分の責務の完遂でした。また、知名度の高い会社であればあるほど、案件の獲得のための努力の質が変わってきます。

どう努力の質の違いかと言うと、

  • 知名度が高い会社 → とにかく高単価の案件獲得が命題
  • 知名度の低い会社 → 先ずは顧客に会ってもらい提案できるかがスタート

この違い、物凄い違いなんですね。営業をされている方なら分かると思いますが、取引実績のない会社とはそもそも会ってもくれなかったりします。

また、知名度の高い会社ほど優秀な社員を多く抱えているので、提案資料を作る際も、ある程度手放しでも若いコンサルタントがしっかりした資料を作ってくれます。一方、そうでない会社は、手放しで社員に任せているととんでもない資料が出てきます。

私は、移籍した会社の最初は、

  • 新規顧客探し
  • 見つけた顧客へのアポ取り
  • 提案資料の作成
  • 案件の獲得
  • プロジェクト開始後の質の確認

の多くの部分を自分の責任で実際に自分で手を動かして実施していました。

正直、転職した直後は「前の会社ではこうだったのに、何なんだよ、この会社は」という不満がついつい口から出てしまう日々が続きました。

この会社は実績が上がらなければ役員はいつでもクビになるような契約でした。この真っ赤な血で染まる嵐の中でもがきながらもなんとか生き抜き、気づいたら役員を5年勤めることに。

社長から遺留されながらも、既に起業していた自分の会社に専念するために退社をしましたが、転職当時に不満ばかりだったこの会社で鍛えられなかったら、起業独立も出来なかったでしょう。実際、米国の大手戦略ファーム時代の同僚たちは、その後に事業会社の1社員になったり、今でも現場でコンサルタントをやっている人が少なくありません。

もしあなたが「厳しいマーケットで競合会社に勝つ方法」を知らなければ、会社の経営に携わるポジションに就くことはできませんし、仮に就けたとしても直ぐに化けの皮が剥がれて失脚するでしょう。

あたなが転職先を考える時、厳しい競合環境で他社とガチンコで競い合えるかどうがが、転職先を選ぶ際の重要なチェックポイントになります。「競合に勝てるスキル」があれば、あなたはどこの会社からも引く手あまたでしょう。

 

(理由5)あなたの会社は、給与や処遇の渡し方であなたをダマしてないか?

会社から受けている処遇の秘密

さて、次は「社員のロイヤリティ・マネイジメント」について話をします。

「ロイヤリティ( loyalty)」とは、日本語では「忠誠心」と訳されます。「ロイヤリティ・マネイジメント」は、一般的には、顧客に自社の製品やサービスに対して忠誠心を持った愛好者になってもらうにはどうしたら良いかを考える用語ですが、社員に対する人事施策としても使われます。要は、社員に会社への忠誠心を持たせるための施策です。

「社員のロイヤリティ・マネイジメント」について話を進めるにあたり、まず考えて欲しいことがあります。それは、会社の処遇の支払い方です。具体的に説明しますね。

会社が社員に支払う処遇を分類すると下記のようになります。

  • 基本給
  • 賞与(ボーナス)
  • アワード(賞金)
  • ストックオプション
  • 福利厚生

まず結論から言います。この中であなたのキャリア上重視するものは「基本給」と「賞与」の2つだけです。後は全てキャリアにとっては全く意味がないと思って下さい。

理由は簡単です。既に前述したように「年収は、ビジネスマンの実力や社会的地位を評価する一つの指標」です。転職時に履歴書の現在の給与欄に「福利厚生を金額に換算して給与に加算」なんてことはしませんよね。あなたのキャリアにとって重要なものは、「基本給」と「賞与」の合計値だけです。

人事戦略的な観点からすると「できるだけ優秀な人材を、適正な給与、もしくは適正よりちょっと安い給与で使いたい」というのが本音です。

  • アワード(賞金)
  • ストックオプション
  • 福利厚生

これらは、全てそのために用意された人事的な施策です。

アワードは頻繁にもらえるものではないので、会社的には一時的コスト。ただ、「社長賞」などと大げさな名前で社員に10万円も与えれば、その社員は何年間もの長期に渡りその名誉を胸に会社のために従順に尽くしてくれるでしょう。たった1回の少ないコストで社員の会社への忠誠心を持たせることのできるとても効率の良い施策です。

ストックオプション。これもよくある人事施策ですね。30年程前、オラクルのような今では巨人となっているIT企業がまだ創成期〜成長期だった時代。その時代の社員がストックオプションで大儲けしたなんて話はよくありました。ただ、かなり稀な例です。もしあなたがストックオプションを与えられた場合、会社の5年間の株価の変遷を確認しましょう。かつてのアマゾンやオラクルの様に株価が毎年高騰しているならストックオプションの価値がありますが、変動なしもしくは下がっているとした、紙切れ(実際には紙もないただの無駄な権利)を与えられたに過ぎません。そういう会社に限って「ストックオプションは特別優秀な社員にだけ与えるのだが、他の社員には口外しないように」などと口止めされます。「価値のない権利だけどあなたは会社にとって特別だ」と告げて社員を喜ばせ、忠誠心を持たせるわけです。株価が高騰していないため、実際にストックオプションを行使する社員はいませんので、会社にとってかかるコストはゼロ。とても効率の良い施策です。

福利厚生はあったらありがたいですね。勿論、同じ給与なら福利厚生が手厚い方が良いに決まっています。ただ、その程度に考えましょう。以前は、大企業は「温泉付き保養所」を建てて社員に使わせていましたが、今はもうそういう時代は終わりました。福利厚生というと、「住宅費補助」や「スポーツジムの割引」などが関の山でしょうか。「住宅費補助」は可処分所得にインパクトがあるのでありがたいかも知れません。ただ、あなたの人材としての価値を決める年収には反映されません。

福利厚生など会社のさじ加減でいくらでも減らせます。実際、私が新人だっと頃は、全世界的に多くの大手企業が手厚い福利厚生を社員に提供していました。私が最初に勤めた大手IT企業も、会社の社屋内に社員しか利用できない大手スポーツクラブが入居していましたし、社員用の保養所を全国に所有していました。住宅費補助も手厚かったです。社員デーにディズニーランドの半分を借り切ったりもしていました。しかし、現在の状況を当時からの友人に聞くと、かなり減額された住宅費補助が残っているだけだそうです。

以前、ある大手ITサービス企業の若手社員の方と話をしたことがあります。その方は、「会社の社員食堂は3食無料なんです!」と嬉しそうに話しながら、毎日深夜まで仕事していると語っていました。その食事にかかっているコストっていくらでしょうか?正確に計算できませんが、想像するに3食全て食べてもコストは500円くらいではないでしょうか。それを月30日毎日食べたとして、トータルでコストは15,000円です。30日の3食、計90食を会社で食べているとしたら、その生活自体を見直し、家族や友だちの自家を増やした方が良いと思いますが、たかだか15,000円程度のコストで会社に買い叩かれている可能性があります。

これら福利厚生が、正に「ロイヤリティ・マネジメント」で、安いコストで社員をやる気にさせ、写真の会社への忠誠心を育てるための人事施策なのです。

キャリアアップとは、処遇を増やしていくプロセスでもあります。

そして、あたなが転職先を考える時、処遇で重視すべきは次の2つだけです。

  • 基本給
  • 賞与(ボーナス)

人生を犠牲にしてでもやりたいこだわりたい仕事があるなら話は別です、通常は処遇を下げて転職することは絶対に避けるべきです。転職にあたって、できるだけ処遇のアップを希望しましょう。それが通らない会社から内定を得ても断ることも選択肢の一つです。また、そのような事態にならなよう、面接を受ける前から処遇については希望を明確にしておきましょう。自分の処遇に遠慮がちだなのは、自分のスキルに自信がないと見なされます。処遇は自信を持って主張しましょう。

年功序列で社内等級が決まり、社内等級で給与が決まるような会社があります。そのような会社では、年齢で給与レンジが決まってしまているので、あたながいくら優秀でも給与には年齢に合わせた上限があります。その会社が世界の誰もが知っているような大企業だとしても、転職先として魅力は下がりますが、この記事内の他の条件と総合的に考えて、転職先としてふさわしいかを熟考する必要があります。

 

以上が、「今の仕事を続けるべきか?10の質問」の最初の1〜5の解説になります。6以降は【中編】に続きたいと思います。

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20代〜30代は、将来に会社の経営者層などのより重要な地位に就くための準備段階です。この時期にいかに価値のある人材に成長できたかが、あなたの将来を決定します。逆位に言うと、この時期に目の前の仕事を闇雲に頑張って現場で高い評価を得ることが出来...

[新版]ブルー・オーシャン戦略

この記事が、皆さんの素敵な人生のお役に立つことを願っています。

 

makoto

コメント

  1. […] 【前編】10の質問の1〜5について解説 【中編】10の質問の6〜10について解説 【後編】全体の総括と取るべきキャリア戦略(予定) […]

  2. […] 【前編】10の質問の1〜5について解説 【中編】10の質問の6〜10について解説 【後編】全体の総括と取るべきキャリア戦略(本記事) […]

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